2013年1月22日火曜日

うさぎ皮鞣し失敗

正月に屠殺したウサギの皮ですが,なめし作業に失敗し残念なことになってしまいました.

皮は硬いままだし,毛は抜けるし.

しょうがないので太鼓でも作るか….


原因は脳症汁への漬けすぎかな?
そもそも最初に塗りこむ脳症を水で薄めすぎた気もする.

皮鞣しは奥が深い.

2013年1月11日金曜日

草刈る人々

 ヤギの繋牧のせいで,吉田寮の周りは着実に砂漠化が進行しています.ヤギのエサの確保も一苦労.たったヤギ2頭なのに.

  さて,家畜が農耕の主役として一般的に飼われていた時代,エサの確保はどうしていたのでしょうか?一説によると,牛や馬を使って米を作るには,餌用として水田の5-10倍の面積の草場が必要であったと言います(1).しかし,現在日本の農山村を見渡しても,なかなか草原というものは見かけません.村の周りには,田畑の他は山しか無い場合がほとんどです.ではどこから草を得ていたのでしょうか?

 実は,日本の里山と呼ばれる山の多くは戦後植林されたもので,昔は草原の山だったのです.そしてそこに生えている草を刈ってきて家畜の飼料としていました.現在,日本の草地面積は国土の1%未満ですが,例えば江戸時代,河内国では山の半分が草原で覆われていたと言われています(2).日本では,放っておくと草原は森林になってしまうので,草の山では山焼きを行って草原植生を維持していました.草刈山は所謂村共有の入会地とされていましたが,入会地が少なかったり,村から遠かったりする集落では特に草刈は苦労するものだったようです.

 吉畜協でも,ヤギ小屋の敷材用に草刈りに出かけたのですが,なかなかいい場所が無く結構遠くまで刈に行きました.二人で1時間強作業して,1坪半のヤギ小屋に敷き詰められるぐらいのススキが刈り取れましたが,これを毎日のように繰り返していたと思うと,先人たちの苦労が偲ばれます.何せ,私たちは草刈り場から車で草を運びましたが,昔の人は背負って運んだのですから.


参考文献:
(1)宮本常一, 2007,日本人の住まい,農山漁村文化協会
(2)小椋純一, 2006, 日本の草地面積の変遷, 京都精華大学紀要第三十号

2013年1月7日月曜日

自家繁殖開始

6月の寮祭時期の出荷に向けて,当組合ではヒヨコの生産を開始しています.


吉畜協式孵卵器.自動転卵機能付き.


気温38度くらいで温め,1週間後に検卵.写真の様に気室がくっきり見えていればOK.


20~21日で孵化.生まれたばかりのひよこ.


自力で卵を割れない雛は,写真の様に人間が手助けしてやります.


今回は死籠りもなく,有精卵5個中5個共孵化させることが出来ました.孵化率100%!
ライトブラマバンタムと土佐ジロー雑種の子供です.
地鶏系の特徴である茶色い縞模様が見えます.








2013年1月3日木曜日

定住と非定住と


 年始,大阪でのホームレスの人のための越冬闘争に参加した.そこで支援者の方の一人が話していたことが非常に考えさせられるものであった.「日本には,定住していることが普通であり善であって,ホームレスなどの非定住者は異常であり悪であるという暗黙の了解が存在している.野宿者の支援というと,野宿者が定住者へ戻ることの支援を意味していることが多いが,そうではなく堂々と野宿者であると言える社会.非定住という選択肢が許される社会をつくるような運動をしていかなければならない.」
 
現在,非定住という選択肢が無い日本社会ではあるが,過去には非定住の人々が存在していた.所謂サンカと呼ばれる人々や,木地屋,マタギなどの人々である.木地屋いうのは,山中の木を切って椀等を作る人々で,江戸時代までは山の7合目以上は木地屋の領域とされ,自由に木を伐採することが許されていたという.もう奥には村が無いような山奥の沢で,上流から椀が流れてきたという話は日本各地に存在している(遠野物語のマヨイガの話も確か椀が流れてくる記述があったような(自信無し)).東北のマタギは,一応村に定住しているものの,山中の道を獣を追って中部地方や近畿地方まで足を延ばしていたというから,一年の大半は野宿をしていたと考えられ,定住者というよりは半定住者と言えよう.紀伊山地の北山地方では,戦前まで,サンカの人々が河原に小屋掛けして川魚漁をしている姿が村人に目撃されている.

 結局彼らも,明治維新後の社会の変化によって,非定住者から定住者へと変わっていったのだが,不勉強な私にはなぜそうなったのか答えを得ることは難しい.「中央政府からの圧力」なのかそれとも,「非定住者が定住することが許されるようになった」からなのか?そもそも非定住者は「定住が許されない者」だったのか単なる「定住しない者」だったのか?

 さて,野宿者の問題に立ち返ってみると,彼らは経済的な理由から「定住が許されない者」であると思われているが,内実はそうも単純ではなく,かなりの数の「定住できるだけの経済的余裕がありながらあえて非定住を選択している人」が存在しているという.そうなると,ビッグイシューのような「経済的自立をさせて社会復帰!」みたいな野宿者支援というのは,かなり的外れなものだと言える.彼らは可哀そうな困窮者ではなく,非定住という幸福を追求する権利を求めるマイノリティーなのだ.彼らに定住支援をすることは,同性愛者に対して異性愛に戻る支援をすることとまったく同一にナンセンスなものであると言えるだろう.

全然畜産と関係ないことを書いてしまったので,最後に少し考えたことを.
公園に家畜小屋つくって,普段は地域の人々の癒しの場としてそれを提供し,野宿者に辛い冬が来たらそれの一部を食料として供給するような,そんなシステムを作れないだろうか?一石二鳥だと思うのだがどうでしょうね,橋下さん!